三枚組、三時間弱という大ボリュームだが、デビューシングル「赤色エレジー」から最新配信シングル「るるもっぺべいぶるう」までのバランス良い選曲で、あがたの40年近いキャリアを総括出来る。
長丁場ながらも一定のテンションは持続し続ける貫禄のステージで、これがキャリア中のベストパフォーマンスではないとは思うが、あがたの最大の魅力である決して上手ではないが個性的はで破天荒なヴォーカルが存分に楽しめる。
これまでにリリースされたライブ盤では、どこか固さが見え不完全燃焼気味のパフォーマンスしか聴けなかったが(1978年の発掘音源『永遠の遠国 at 渋谷ジアン・ジアン』を除く)、今作では、丁寧さよりも勢いを重視しての歌唱が際立っている。
初期に活動を共にした「はちみつぱい」のメンバーを中心にした豪華ゲストの中でも、特に際立った個性を発揮していたのが、矢野顕子と緑魔子の女性ヴォーカル陣だろう。
矢野は「サブマリン」「ノオチラス艦長ネモ」「パールデコレーションの庭」「デパートメントストア」に参加。
スタジオ盤でもデュエットした「パールデコレーション」は当然としても、Virgin VSの名曲「デパートメントストア」では、サビ部分のコーラスで主役のあがたを喰う勢いの存在感。
緑は「最后のダンスステップ」「清怨夜曲」の二曲をデュエット。
伊藤ヨタロウwith戸川純、東口トルエンズ(戸川純)、黒色すみれ(「叙情娘」名義)等もライブでカヴァーしたスタンダードナンバー「最后のダンスステップ」では、あがたが力んでいるかの様に聴こえ、緑やバックと噛み合っていないのが少々残念だったが、「清怨夜曲」は今作中でベストと言える壮絶な演奏に。
オリジナルには女性コーラスは参加していない為、緑が女性一人称のパートを歌っているだけでも十分新鮮なのだが、あがたが鬼気迫る熱唱を見せるサビ部分で、芝居の台詞の様にどこか陽気な調子で「踊ろう、踊ろう」を連呼する緑のコーラスが凄まじく、40年近く前に発表された楽曲を新たな解釈で聴かせている。
他にも、武川雅寛のマンドリンが光る未CD化のサントラ盤『夢みるように眠りたい』収録の「手品のわるつ」や、今作唯一の弾き語りの「24時間の瞳」、高浪敬太郎作曲の名バラード「空飛ぶ理科教室」など聴き所は多く、あがた森魚の過去と現在を見渡せる好企画盤だ。
あがた森魚 HP
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