その5周年を記念して、出演者全員参加のシングルCD-Rが発表された。
「ラブリー先生~わたしを甲子園に連れてって!」「夜のどっこいしょディスコ」と、各曲のタイトルからして一筋縄ではいかない雰囲気だが、音楽性も極めて高く、充実の2曲になっている。
正統派のポップなシンガーソングライターであるイメージの強い女性陣2名だが、「ツリーと一緒だから…」というのを言い訳に思い切り好き勝手にやってしまっているのが感じられる非常に楽しい作品だ。
ライブ当日の限定販売と告知されていたが、辻香織のブログでは「好評につき増産決定、今後ライブ会場にて販売します」とのことなので、イベントに来られなかった方も入手出来る可能性がありそうだ。
参加メンバーのブログにも書かれているが、2曲とも1日のみのスタジオ入りで作詞作曲から演奏まで仕上げた作品だが、完成度は非常に高い。
「ラブリー先生」は、辻香織のキュートなロリータボイスと、東川亜希子のエキセントリックなボーカルで、「ラブリー先生、ラブリー先輩、ラブリー後輩」と「ラブリー」を連発するボーカルパートも強烈だが、カントリー風の小宮山聖のギター、ファンキーな東川のピアノ、唐突に「50週〜、60週〜」とヨーデル風の不気味なコーラスでオイシイところをかっさらう角森隆浩と、全員の個性が全開の名曲だ。
「どっこいしょディスコ」ではイントロから東川のピアノの低音が往年のディスコサウンド風のベース音を見事に表現。
このメンバーのパブリックイメージからは思いもつかないファンキーナンバー。
角森の「ソ〜ウルどっこいしょ」「ウッ、ハッ」といった魅惑の低音シャウトが不気味だが、参加者全員のスタジオでの異様なテンションが伝わってくる。
『どっこいしょ祭り』終演後に角森は「これは『福耳』みたいなものよ」と、語っていたが、本当に「福耳」の様にきちんとユニット名を決めマイペースで作品を発表するのもありだろう。
ハミングス、nino trinca、ソロ、ダイナミックオーシャンズとして、数々の作品を発表している角森だが、今回の『どっこいしょCD-R』ほど彼の音楽嗜好がストレートに反映された作品もないのではないのだろうか。
ハミングス、nino trincaでは作詞とボーカリスト、パフォーマーに特化した存在感だった。
特にnino trincaは、上田禎という稀代の作曲家の紡ぐメロディや、HONZI、鹿島達也、CHACOといったスーパープレイヤー達が、角森の強烈な個性に拮抗するスリルが魅力のバンドだが、ボーカリストである角森が、サウンド面に介入することは殆どなかったのではないだろうか。
一方、『VIVA!DYNAMIC』は、元BL.WALTZの小西昭次郎にサウンドプロデュースを委ね、普段のダイナミックオーシャンズのアヴァンギャルドなパフォーマンスをあえて封印したかのようなポップ作品として世に送り出された。
ソロでリリースした『角森隆浩 vol.1,2』は、idehof&HONZI夫妻宅にてアットホームなムードで録音された名盤だが、ソロのライブでの破天荒な勢いはあまり感じられず、お行儀良くまとまっている感じも受ける。
今回の『どっこいしょCD-R』では、「ソングライティングよりもムードメイクに徹した」と語っていた角森だが、『オゲレツ365日』で時々吐露されるアメリカンルーツミュージックへの深い造詣や、最近のブームであるソウルミュージックなど、角森の個人的指向がストレートに反映されている。
また、1日という短いレコーディング期間が良い方に作用し、ライブの勢いがそのまま封じ込められたかの様な凄まじいテンションのサウンドに仕上がっている。
「ムードメイク」にとどまらず、サウンドプロデュースまで踏み込んだ、角森史上画期的な作品なのではないだろうか。
角森隆浩ブログ『オゲレツ365日』 - http://tsunomori.seesaa.net/
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